2011年12月15日木曜日

ミュータント・ゾンビ・オブ・ザ・デッド

ミュータント・ゾンビ・オブ・ザ・デッド』です。もう、タイトルからして狙ってますね。『ミュータント・ゾンビ』ではなく、『ミュータント・オブ・ザ・デッド』でもありません。ちなみに”~・オブ・ザ・デッド”は”ゾンビ”のことです。”ゾンビ”に”オブ・ザ・デッド”を重ねるのが無粋なことは我々ゾンビストの常識(?)ですが、B級映画ファン御用達のWHD/フォワードからのリリースですから、わざとのネーミングでしょう。ちなみに原題は”ミュータント(mutant)”=”突然変異”です。まあ、ゾンビではありません。ちなみにVTRでリリース時のタイトルは「ミュータント/人類改造計画」 だそうです。”改造計画”もちょっと違うなぁ…

お話は都会から兄弟が休暇にくるところから始まります。軽いお調子者なのに気が短い兄と真面目な弟です。兄がふざけて運転していたため、地元のならず者とトラブルになり、車が川に落ちる羽目になってしまいます。
仕方なく近くの街に行き、修理のためにガソリンスタンドを探そうとしますが、悲鳴を聞きつけた弟が死体を発見してしまいます。その不気味な死に顔を見た兄は関わるべきでないと感じますが、真面目な弟は保安官に伝えてしまいます。三人が死体のあった場所へ行くと、そこには前後不覚になった酔っ払いが寝ていました。
保安官に紹介してもらった民宿で、弟は死体の謎を放ってはおけないと主張します。兄は仕方なく、車を修理して町を出た所で、州警察に連絡するということで妥協します。その晩、不気味な音に目を覚ました弟がベッドの下を覗き込むと…そのまま引き摺りこまれてしまいます。
翌朝、兄は行方不明になった弟とガソリンスタンドを探しに町へ出かけます。ここで、主役交代です。おいらは、弟が主役だと思ってましたが、実際の主役は兄だったのです。

町へ出た兄は美人の教師と知り合い、事件の謎に迫って行きます。兄と美人教師、それに左遷されたアル中保安官、保安官の元彼女の医者が、それぞれの立場から謎を追います。ゾンビと銘打っていますが、序盤~中盤はミステリータッチで進みます。
さて、お待ちかね、終盤は兄と美人教師を襲うゾンビ(ミュータント)が大量に出てきて、ゾンビアクションが展開されます。ゾンビ物としてもアクション物としても、なかなか面白いです。やっぱり、人がたくさん出てくると迫力があります。B級とは言え、それなりにお金を使っているようです。
ゾンビ(ミュータント)は白塗りで目の周りが黒いだけのチープなメイクですが、それはそれで味があります。本作は1984年の作品ですから、監督を始め制作陣はロメロのゾンビを当然のこととして知っていて、影響を受けているでしょうね。でも、似て非なるものという感じ(?)。

本作は80年代の作品ですが、雰囲気は60~70年代のソレです。おいらが子供の時の東京12チャンネル(今のテレビ東京ね)の午後のロードショーの雰囲気と言えば、ご同輩には通じるでしょうか?何となく古臭い雰囲気(いや、四半世紀なので、十分古い)ですが、構成・脚本がしっかりしているので、最後まで楽しく見ることが出来ます。これで、日本語吹き替えがあれば最高だったのに。
先日、紹介したギリシャ・ゾンビではありませんが、ゾンビ物は単調になりがちです。それに対して、本作は事件を追う4人に全く異なる個性ある人たちを配置したことと、工夫された脚本により、クライマックスまでの流れが良くて、最後まで画面に引きつけられます。細かいことを言えば突っ込みどころは多いのですが、それを補ってあまりあるテンポの良さ、構成の妙があります。ゾンビストはもとより、ホラー系が好きなB級愛好家の皆様にお薦めしたいと思います。

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